
歌川広重-名所江戸百景-93-秋-木母寺内川御前栽畑 解説
現在の住所:墨田区 木母寺付近
緯度経度 :緯度:35.6950 経度139.8160
出版 :1857年12月 年齢:61歳
木母寺内川御前栽畑(もくぼじ うちかわ ごぜんさいばた) 観光ガイド風解説:「木母寺内川御前栽畑」
■ はじめに
歌川広重が描いた『名所江戸百景』は、江戸の風景や名所を鮮やかに切り取った全119図からなる大作です。
その中の一図「木母寺内川御前栽畑」は、墨田川(隅田川)の東岸に位置する木母寺(現在の東京都墨田区堤通あたり)を舞台とした作品です。
この絵には、境内を流れる内川や、将軍家のための御用畑(御前栽畑)の景観が描かれています。
信仰と農業、そして江戸の自然が調和する様子が生き生きと表現されています。
観光ガイドとしてこの地を紹介するなら、江戸の信仰・農業・川の景観が一度に味わえるスポットといえます。
■ 木母寺とは?
木母寺は、源頼朝の命によって建立されたと伝えられる古刹です。
本尊は十一面観音菩薩です。
特に「梅若伝説」と呼ばれる物語で知られています。
これは、母と生き別れた稚児・梅若丸がこの地で亡くなり、その菩提を弔うために母が開いた寺と伝えられるものです。
歌舞伎や能「隅田川」の題材にもなった感動的な物語です。
木母寺はその舞台として江戸庶民に親しまれました。
江戸時代には、隅田川沿いの名所として多くの参詣者が訪れ、花見や川遊びとあわせて楽しむ観光地です。
木母寺は単なる宗教施設ではなく、人々の心を癒やす文化的な拠点でした。
■ 御前栽畑とは?
「御前栽畑」とは、将軍家の御膳に供するための野菜や穀物を栽培した畑のことです。
江戸幕府は、特定の地域にこうした御用畑を設け、品質の良い農産物を確保しました。
木母寺の周辺は肥沃な土地で、隅田川の水運にも恵まれていました。
そのため、ここに御前栽畑が置かれ、将軍の食卓を彩る野菜が栽培されました。
浮世絵に描かれた広々とした畑は、江戸の農業風景を象徴する場面です。
■ 絵の見どころ
木母寺は、隅田川上流の西岸で、支流の内川を200mくらい入ったところに位置します。
梅若伝説と関係の深い寺です。
梅若伝説は、京で人買いにさらわれた梅若は、隅田川まで連れて来られたところで息を引き取りました。
梅若を葬るために旅の聖が塚を築き、後に草堂建って木母寺となりました。
ここに描いたのは寺ではなく、境内の料亭です。
このしじみ料亭は八頭芋と蜆料理を振る舞った料亭です。
右から屋根舟が到着し、二人の芸妓が料亭を目指っします。
内川をはさんだ対岸は、御前栽畑と呼ばれる将軍家へ献上する野菜を栽培していた畑です。
■ 現代の木母寺と周辺散策
今も墨田区堤通に木母寺は現存し、本尊・十一面観音を祀っています。
境内には梅若丸伝説を伝える石碑や供養塔があり、歴史の息吹を感じることができます。
御前栽畑はすでに失われています。
■ 観光ガイドのおすすめポイント
①木母寺参拝と梅若伝説
境内で梅若丸ゆかりの供養塔を訪れ、能や歌舞伎に描かれた物語を思い浮かべましょう。
②浮世絵との対比
『名所江戸百景』を手に実際の木母寺を訪れることで、江戸の田園風景と現代の都市景観のギャップを味わえます。


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