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浮世絵
日本美術を代表するジャンルである「浮世絵」にはさまざまな魅力があります。
まず浮世絵版画の魅力の一つとして、「色」の美しさが挙げられると思います。浮世絵版画の中でも、多色摺りの作品は「錦絵(にしきえ)」と呼ばれ、その色の鮮やかさは浮世絵の大きな魅力の一つです。その理由は、浮世絵が木版画で作られているからです。江戸時代の摺師(すりし)達は、木版を何度も摺っていく中で、できるだけ鮮やかな色同士を組み合わせることを重視していました。また、作家によって代表的な色を使った表現もなされています。時代にもよりますが、たとえば19世紀を代表する風景画の名手・歌川広重の作品は「青」が印象的です。当時海外から輸入され、日本で新しく使われるようになった鮮やかな藍色の絵の具を使って海や空が描き出されています。これらの青色は、プルシアンブルーやベロ藍などと呼ばれています。特にベロ藍は木版技術+和紙の組み合わせと非常に相性が良く、日本独特の美しい色合いに仕上がっていますので、その色の鮮やかさを見てもらいたいです。
一般社団法人日本製品遺産協会では、日本製品遺産としてさまざまな「浮世絵の書籍」を所蔵しております。
また、浮世絵の原画を元に栃木県芳賀郡益子町周辺で作られている陶板に仕上げました。ケイ酸や鉄分が多く、可塑性(かそせい)に富む陶土(とうど)を用いるため、形を作りやすく耐火性も高くなります。
益子焼の特徴は、陶土に他の物質を加えないことから厚みのある焼き物に仕上がることです。重さや割れやすいことが欠点と評されることもありますが、手に馴染みやすい益子焼ならではの魅力ともいえます。
益子焼陶板「赤富士」
益子焼として、浮世絵 赤富士を17cm × 25 cm(原版25.7cm × 38 cm)で製作しました。今後は原版サイズの陶板製作を計画しています。
江戸期の輸出の主力である陶器と世界で人気のあった浮世絵を掛け合わせて、日本の文化を輸出できる様に製品として完成させました。
なぜ浮世絵の陶板か?
子どものころ、「永谷園のお茶づけのり」に歌川広重の浮世絵である「東海五十三次」のカードがありました。これを眺めていて浮世絵の魅力を子どもながらに感じていました。43才の時に、東海道五十三次の浮世絵の場所を見に行きたくて、2週間連続で京都から日本橋まで東海道の旧道を歩きました。徳島県に「大塚国際美術館」があります。ここは世界の洋画を原寸大陶板で展示していた。「すごい!」と感動し栃木県を代表する陶芸品である益子焼に浮世絵を描いた陶板の製作を検討しました。
浮世絵 神奈川沖波裏& 蒲原& 赤富士「凱風快晴」
書籍に収録されている印刷物になります。講談社 浮世絵版画集 「北斎」と「広重」の中からです。
「北斎」は葛飾 北斎(かつしか ほくさい)代表作に『冨嶽三十六景』全46図の中の「神奈川沖浪裏」(かながわおきなみうら)は、世界でも有名です。サイズは25.7 cm × 37.9 cm (10.1 in × 14.9 in)です。
赤富士は正式名を「凱風快晴」(がいふうかいせい)と言います。サイズは25.7cm × 38 cm (10.13 in × 15 in)です。大判錦絵となります。「神奈川沖浪裏」「山下白雨」と合わせて三大役物と呼ばれています。
「広重」は歌川 広重(うたがわ ひろしげ)代表作に『東海道五十三次絵』全55図の中の「蒲原 夜之雪」が有名です。淋しい蒲原の宿場の風景をで、人影もまばらな夜の街道、音もなく深々と降る雪の情景です。