
歌川広重-名所江戸百景-89-秋-王子瀧乃川 解説
現在の住所:北区 滝野川
緯度経度 :緯度:35.7440 経度139.7290
出版 :1856年4月 年齢:60歳
観光ガイド風解説:「王子瀧の川」
■ はじめに
歌川広重の『名所江戸百景』の中でも、自然の清涼感と庶民の行楽の様子を同時に描き出した名作が「王子瀧の川」です。
現在の東京都北区王子付近、石神井川の流れが音無川と呼ばれる渓谷を形成する場所を描いたものです。
江戸の人々は、ここを夏の涼を求める絶好の行楽地として訪れました。
広重は流れ落ちる滝や渓谷の緑、川遊びを楽しむ人々を生き生きと表現し、江戸近郊の自然美と庶民の楽しみを一枚の浮世絵に収めています。
■ 王子と音無川の歴史
現在は石神井川と呼ばれていますが、王子周辺では「音無川」として親しまれてきました。
川幅が狭く岩肌を削るように流れ、渓谷美をつくり出していたため、川の音が響きわたる様子から「音無川」と名付けられたといわれます。
王子は古くから王子稲荷神社、王子権現といった信仰の中心があり、参詣の人々でにぎわいました。
寺社参拝とあわせて自然を楽しむ「寺社+行楽」の文化が、江戸庶民の旅気分を支えました。
江戸の夏は暑く湿気が多いため、涼を求めて水辺に出かける習慣がありました。
音無川沿いには茶屋や料理屋が並び、川魚料理を味わったり川床でくつろいだりと、祇園の納涼床を思わせる風情が広がっていました。
■ 絵の見どころ
石神井川の下流の王子辺りの地域を滝の川といいます。
両岸は切立った渓谷の風光明媚な場所で春は桜、秋は紅葉の名所として知られています。
川を挟んで東に飛鳥山、西に王子権現社があり賑わいが絶えることはありませんでした。
曲行した川の先、左には松橋があります。
右側の弁天の滝まで通じた道がありました。
途中の鳥居は岩屋になっていいます。
ここに弁財天が安置されています。
その先の弁天の滝では滝浴みをする人や休み小屋で一息ついている人がいます。
断崖の上に描かれているのは弁財天を祀った金剛寺です。
この寺は別名を紅葉寺といい秋になると楓を楽しむ客が大勢おしかけます。
■ 現代の王子瀧の川
現在、かつての音無川沿いは「音無親水公園」として整備されています。
川の流れは暗渠化されています。
公園内には人工的にせせらぎが復元され、往時の雰囲気を楽しむことができます。
公園周辺には当時の石組みや橋の跡が残り、江戸時代の面影を偲ぶことができます。
春は桜、秋は紅葉と、今も四季折々の景観が美しい散策スポットです。
川遊びとともに参拝された王子稲荷や王子神社も今なお健在です。
特に正月行事の「狐の行列」は全国的に知られ、多くの観光客を集めています。
■ 観光ガイドのおすすめポイント
①音無親水公園で清流気分
小川のせせらぎに耳を傾けながら散策できる癒しスポットです。
②王子稲荷神社参拝
狐火伝説で知られる神社です。
境内からの眺めは江戸時代と変わらぬ王子の自然の豊かさを感じさせます。
③川魚料理を味わう
現代の王子でも老舗の料理屋や居酒屋で川魚料理を提供する店があります。

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