葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の「駿州片倉茶園ノ不二」について説明する。
この浮世絵の駿河国は、現在の静岡県東部付近をいう。
片倉という地名は存在しないため、静岡県駿東郡清水町にある徳倉の誤刻の可能性が指摘されている。
戸倉村の「戸」が「片」と誤った可能性がある。
駿河は茶の名産地であったことから、このような大規模な茶園が多く見られたと考えられる。
この浮世絵を描いた当時としては、霞の向こう側に見える小屋の一帯も同じ敷地内であれば相当大きい茶園である。
中央2ヶ所の茶畑に笠を被り並んで茶摘みをする女性たちが見られる。
摘んだお茶の葉をかごに詰める者、運ぶ者、そして馬の背に乗せる者など労働する。
園内の畦道をたどりながら茶摘の工程を確認することができる。
特に、長い台に並んで腰かけている六人の人々は、彼らには働いている様子は感じられない。
二頭の馬には茶園とは無関係であるはずの浮世絵の版元の永寿堂の家紋が見える。
【2022年時点】お茶の生産量1位…静岡県、2位…鹿児島県、3位…三重県、4位…宮崎県、5位…京都府 である。
この浮世絵は1830年から1832年頃の作品である。北斎の年齢が72歳頃になる。

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