
歌川広重-名所江戸百景-75-秋-大伝馬町こふく店 解説
現在の住所:中央区日本橋大伝馬町(大伝馬町交差点付近)
緯度経度 :緯度:35.6892 経度139.7806
出版 :1858年7月 年齢:62歳
観光ガイド風解説:「大伝馬町こふく店」
■ はじめに
歌川広重の『名所江戸百景』は、江戸の町並みや四季折々の名所を鮮やかに描き出した連作版画です。
その中でも「大伝馬町こふく店」は、江戸の商業文化を象徴する一枚です。
寺社や川辺の景観ではなく、商家が立ち並ぶ大通りを主題とし、軒先に並ぶ商品の数々や人々の往来を克明に描いています。
広重はここで、江戸を動かした 経済と消費の拠点 を浮世絵として表現しました。
この絵を眺めると、まるで江戸の銀座や日本橋を歩いているかのような感覚になります。
■大伝馬町とは
大伝馬町は日本橋の東側に位置し、江戸でも随一の商業地区でした。
伝馬町はもともと「伝馬役」、つまり宿場での馬の継ぎ立て役割を担ったことから名づけられた地名です。
江戸城下でも重要な街道の結節点であり、物流と交通の中心でした。
江戸の町には各種の「町」がありましたが、大伝馬町は特に呉服屋が多く集まる場所です。
江戸随一のショッピングストリートでした。
大阪の道頓堀や京都の四条河原町と並び、商人と買い物客が集う賑わいの場でした。
大伝馬町はまた「山車祭り」でも有名です。
町内ごとに華やかな山車を出し、江戸っ子の心意気を示す場でもありました。
商業と娯楽が交わる場所が、大伝馬町です。
■ 絵の見どころ
徳川家康の江戸入府に際して馬込勘解由が人夫、馬を揃えて出迎えました。
その功により伝馬役を仰せつかったのが大伝馬町のはじまりです。
のちに配下が三河木綿を扱った商売を行い木綿問屋街に発展しました。
中央の大丸は京の下村彦右衛門が創業した呉服店です。
主に絹織物、綿織物などを扱い、現金掛け値なしの販売で財をなしました。
左上の看板に大丸の看板「呉服太物類 けんきん 下むら かけ値なし 大丸屋」と書かれています。
これが、現金掛け値なしの販売のしるしです。
通りでは新築する建物の上棟式を終えたところです。
全員衣冠束帯の正装で御幣を肩から担ぐ大工の棟梁が先頭を務めます。
その後ろには建築に携わる職人が並んでいます。
棟梁の後ろに大きな破魔矢が二つ見えます。
■ 現代の大伝馬町を歩く
大伝馬町は、現在も東京都中央区に「日本橋大伝馬町」としてその名を残しています。
江戸時代のような呉服店は少なくなりましたが、今でも商業地としての面影があります。
史跡・見どころは、「大伝馬町牢屋敷跡」と「小伝馬町駅周辺」です。
大伝馬町を歩くと、古い商家の跡地を示す案内板や、江戸期の地図と現代の街並みを照らし合わせる楽しみがあります。
■ 観光ガイドのおすすめポイント
①広重の作品鑑賞
江戸東京博物館や国立博物館では、実物の浮世絵を鑑賞できる機会があります。
大伝馬町の華やかさを描いた広重の筆致をじっくり楽しみましょう。
②呉服の文化体験
現代では着物レンタルや和装体験が人気です。
当時の呉服文化に思いを馳せながら着物姿で町歩きをするのもおすすめです。
③歴史散策ルート
日本橋から大伝馬町、小伝馬町へと歩くルートは、江戸の商業文化を追体験する格好の散策コースです。
途中には老舗の和菓子店や伝統工芸店もあり、江戸情緒を堪能できます。

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