身延川裏不二

浮世絵

葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の「身延川裏不二」について説明する。

日蓮宗の総本山久遠寺周辺の身延川である。

この浮世絵の身延川は身延山中に源流を持ち、日蓮宗の総本山久遠寺の周辺を流れ、波木井川に合流する川である。
絵の中の身延川は、濁流逆巻く暴れ川のように描かれている。小さな渓流がこのように暴れるとは考えにくい。

これは身延川ではなく、富士川の本流と考えたい。富士川の本流は、日本有数の急流である。

甲斐国側から見た富士を「裏富士」と呼んでいた。

甲斐国と駿河国を結ぶ駿州往還は、身延山への参詣道であったので身延道と呼ばれた。

沸き立つ霧と屹立した山々の間に富士山の頂がのぞく。
この浮世絵の特徴は、富士山の頂がのぞき、その下には波が折りたたむように描かる。水量の多さと流れの速さを表現している。
その迫ってくるような景観を眺めながら、旅人たちは川沿いの身延道を行き交う。

久遠寺は、山梨県南巨摩郡身延町にある。山号は身延山。

この浮世絵は1830年から1832年頃の作品である。北斎の年齢が72歳頃になる。

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