駿州江尻

浮世絵

葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の「駿州江尻」について説明する。

この浮世絵の駿州は、駿河国で江尻は清水港に隣接した東海道の宿駅である。

現在の静岡県静岡市清水区にあり、姥ヶ池近辺を描いている。
大きく蛇行する土手の道の先には姥が池の水面が白く見えている。

この土手を往来する人たちが、目に見えない富士山麓特有の強風を苦しむ旅人と菅笠や懐紙が風に乗って飛ばされる様子で表現している。
また、傾いた木から舞い散る木の葉や樹木が傾きでさらに強く表現している。

対照的に泰然と佇む富士を輪郭線だけを用いて描いている。

この浮世絵にイギリスの写真家ジェフウォールが影響をうけ、海外でも有名な作品である。

この浮世絵の姥が池には伝説がある。
この池の近くに金谷長者が住んでいた。
子供がおらず神仏にお祈りをしてやっと男の子を授かた。
ひどい咳が流行して、男の子も病になった。

姥は、池の弁財天に祈願して、男の子にかわり入水して死んだ。
その後、この男の子の病は良くなった。

金谷長者は姥に感謝して、池のふちに社を建てた。
この池のほとりに立って「姥かいな)」と呼びかけると、それにこたえるように泡が出て消えていくようになった。

それで、この池が「姥が池」と呼ばれる。

この浮世絵は1830年から1832年頃の作品である。北斎の年齢が72歳頃になる。

コメント

Translate »
タイトルとURLをコピーしました