
歌川広重-名所江戸百景-97-秋-堀江ねこざね 解説
現在の住所:浦安市 堀江・猫実
緯度経度 :緯度:35.6650 経度139.9030
出版 :1856年2月 年齢:60歳
観光ガイド風解説:「堀江ねこざね」
■ はじめに
歌川広重の『名所江戸百景』は、江戸とその周辺の名所を鮮やかに描き出した連作浮世絵です。
今回ご紹介する「堀江ねこざね」は、江戸の東、現在の千葉県浦安市周辺にあたる漁村の風景を描いた一図です。
江戸湾に面したこの地は、当時「猫実(ねこざね)村」と呼ばれ、漁業や海苔の養殖で知られました。
広重は、この漁村の日常をのどかに切り取り、江戸の庶民に「海辺の暮らし」と「旅情」を届けています。
都市の賑わいから離れた、素朴な海辺の景観が魅力です。
■ 「堀江ねこざね」とはどこか
「堀江」は現在の浦安・堀江地区を指します。
「猫実」は、浦安市に今も残る地名で、「猫がよく獲れた」あるいは「漁で魚をねこそぎ獲ることから」といった諸説があります。
江戸時代には「猫実村」と呼ばれる漁村で、江戸前の魚介類を江戸市中へ供給していました。
江戸から船で浦安方面へ向かうと、すぐに到着できる距離にありました。
江戸前の海は豊かで、アサリ、ハマグリ、海苔、白魚などが獲れ、堀江・猫実はその拠点の一つでした。
庶民にとっては「漁村を訪ねる小旅行先」としても親しまれました。
■絵のみどころ
鴻の台を南下した江戸川の河口で、右の集落が猫実村です。
猫実村の右に豊受神社が見えます。
左が堀江村で、手前の橋は境橋です。
最初、徳川幕府は水と塩を確保するため、水は玉川上水と井の頭から、塩はこの付近で採取したものを川を掘って運んでいました。
のちに塩とともに貝の産地としても知られるようになりました。
国府台から千葉方面に行く人は、船でここまで来てから歩いたものです。
人の出入りの多いところでした。
手前に描かれているのは千鳥無双網で鳥猟をしているところです。
手前の川は境川です。
■ 現代の「堀江・猫実」
現在の浦安市には「堀江」「猫実」という地名がそのまま残っています。
都市化が進んでいますが、古くからの路地や神社に当時の面影を見ることができます。
豊受神社(猫実)、清瀧神社(堀江)、稲荷神社(当代島)は「浦安三社」と呼ばれ、漁村の信仰を伝えています。
毎年行われる祭礼は、江戸時代から続く伝統行事です。
浦安市郷土博物館では、漁村時代の浦安を再現した展示や漁具が見られます。
舞浜や東京ディズニーリゾートの華やかな観光地のすぐ隣に、広重が描いた「漁村の浦安」の歴史を体感できます。
■ 観光ガイドおすすめコース
①浦安市郷土博物館
江戸時代の堀江・猫実の漁村風景を再現した常設展示で、広重の浮世絵と現地の歴史を結びつけて楽しめます。
②浦安三社巡り
豊受神社、清瀧神社、稲荷神社の「浦安三社」を訪ねることで、江戸時代の生活文化に触れられます。
③旧江戸川河畔散策
現代の堀江・猫実は江戸川沿いに広がり、川と海に囲まれた地形は当時と大きく変わっていません。
堤防や親水公園を歩くと、江戸前の海の名残を感じられます。

コメント