浮世絵 歌川広重 名所江戸百景 88-秋 井の頭の池 弁天の社  解説

歌川広重 名所江戸百景- 井の頭の池 弁天の社  解説 名所江戸百景

歌川広重-名所江戸百景-88-秋-井の頭の池 弁天の社  解説
              

現在の住所:武蔵野市 井の頭恩賜公園 
緯度経度 :緯度:35.7033 経度139.5795
出版   :1856年4月  年齢:60歳

観光ガイド風解説:「井の頭の池 弁天の社」
■ はじめに
歌川広重の『名所江戸百景』は、江戸の四季折々の自然や名所を鮮やかに描き出した浮世絵シリーズです。
その一枚「井の頭の池 弁天の社」は、現在の東京・三鷹から武蔵野市にかけて広がる井の頭池を舞台とした作品です。
井の頭池は江戸の人々にとって、「水源の聖地」であると同時に、桜や新緑を楽しむ行楽の地でした。
広重はこの地に建つ弁財天社を中心に、清らかな水辺と人々の憩いの様子を描き、江戸の名所絵として人気を博しました。

■ 井の頭池とは
井の頭池は、江戸市中に飲料水を供給した「神田上水」の水源です。
徳川家康の江戸入府後、水不足に悩む城下を潤すため、慶長年間に整備されました。
その起点が井の頭池で、「江戸の命の水」の源泉です。
「井の頭」という名は、「水の湧き出る始まり(井のかしら)」から来ています。
ほかに、徳川家光がここで狩りをした際「天下一の泉頭」と称えたことに由来する説も残されています。
江戸庶民にとって、井の頭池は花見や舟遊び、寺社参拝を楽しむ人気の行楽地でした。
池を囲む自然と水辺の景観は、都市では得難い「小さな旅」の目的地となりました。

■ 弁天の社について
池のほとりに祀られた「井の頭弁財天」は、水の神・芸能の神として広く信仰を集めました。
琵琶を手にした弁天像は音楽や芸能にご利益があるとされ、特に女性や芸人の参詣が多かったと伝わります。
井の頭弁財天は、源頼朝が鶴岡八幡宮を造営する際に勧請したといわれます。
古くから池とともに信仰の中心でした。
江戸時代には参拝客が絶えず、庶民の娯楽と信仰が融合した名所となっています。

■ 絵の見どころ
井の頭池には七つの湧き水があり、別名七井の池と呼ばれています。
干魃でも水源が枯れることはなかったといいます。
江戸初期にこの上水を江戸の中心部まで引き、神田上水となりました。

池の中央には源頼朝創建といわれる、伝教大師作と伝わる天女像が本尊として祀られる弁天堂があります。
弁財天は古くインドでは河神として知られ、日本では吉祥天と混同され七福神のひとりになっています。
本図前景の中之島の弁天堂は岩で覆われ、周囲には松の木が茂っている。
橋にはこれから詣でる人が描かれています。
中央には五羽の白鷺が飛ぶ広大な井の頭池と湿地帯です。

■ 現代の井の頭池を歩く
現在の井の頭池は、武蔵野・三鷹エリアに広がる「井の頭恩賜公園」の中心にあります。
明治時代に皇室御料地から公園に整備され、大正6年に一般公開されました。

井の頭弁財天(大盛寺)は今も池のほとりに社殿が残り、訪れる人々を迎えています。
江戸時代と同じく、芸能や学問、恋愛成就を祈る参拝者でにぎわっています。

現代も春の桜、秋の紅葉、ボート遊びといった楽しみ方は江戸時代と変わりません。

■ 観光ガイドのおすすめポイント
①井の頭弁財天で参拝
芸能や学業のご利益があるとされ、若者から年配の方まで人気です。
境内の龍神像や石造物も見どころです。

②池のボート体験
江戸の舟遊びを現代風に体験できる名物がボート体験です。
特に春の桜シーズンは必見です。

③自然と動物園
池を中心に広がる井の頭恩賜公園は、日本最古の郊外型動物園「井の頭自然文化園」が併設されています。

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