東海道品川御殿山ノ不二

浮世絵

葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の「東海道品川御殿山ノ不二」について説明する。

この浮世絵の御殿山は、現在の品川区北品川町三丁目に位置する御殿山である。

御殿山は品川宿の北側にある小高い丘で、吉宗の時代に、吉野の山桜が移植され、江戸有数の桜の名所になった。
海と桜を一度に楽しめる名所として賑わっていた。富士山は計算されたかのように、2本の桜の合間から顔を見せている。

御殿山の丘陵にゴザを引いて酒を興じる男衆。
家族連れで、稚児を肩車する男性に同じく稚児をおんぶする女性。
扇を手におどける男たち。思い思いに花見を楽しむ人々の姿が描かれている。

女子どもが背負った風呂敷に、巴紋の永寿堂の紋、山に三つ巴が添えられている。

品川沖に見える海には、浮世絵の特徴である版木の木目を利用した波の表現が表現されている。

現在はこの丘陵は、幕末に品川砲台が建設された時に、その埋め立て用の土砂をとるために削られた。
往時の面影を失い、地名に残るだけとなった。

広重の浮世絵「名所江戸百景」には、その形がよくわかる版図がある。第28景「品川御殿やま」である。

この浮世絵は1830年から1832年頃の作品である。北斎の年齢が72歳頃になる。

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