従千住花街眺望ノ不二

浮世絵

葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の「従千住花街眺望ノ不二」について説明する。

この浮世絵の千住は、日光街道最初の宿場である。
宿場の南に位置する山谷から花街である新吉原を眺めた構図である。

手前には鉄砲や槍をもった大名行列が国元へと向かう様子が描かれている。
一人一人が手にしている赤い色の兵具入れが明らかにきれいに配置されている。

兵具入れと毛槍の隊列は国元へ向かう南部藩の行列と考えられる。

鉄砲の担ぎ手は、みな左右を見回しあまり急いでいる様子ではない。

隊列の向こうには稲刈りを終えた2人の農婦が田んぼの畦道に腰を下ろし、物珍しそうに行列を眺めている。

この浮世絵の中景の家並みが千住の花街である。

山谷(さんや)は、東京都台東区の北東部清川・日本堤・東浅草一帯の通称である。
安宿が多かったことから労働者が集まり、寄せ場と周辺のドヤ街の旧地名として使われる。
一時期、遊廓が置かれたことから、吉原遊廓を指す場合もあった。

この浮世絵は1830年から1832年頃の作品である。北斎の年齢が72歳頃になる。

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