
歌川広重-名所江戸百景-48-夏-赤坂桐畑 解説
現在の住所:港区赤坂3丁目付近
緯度経度 :緯度35.6765:経度139.7376
出版 :1856年4月 年齢:60歳
解説
<1> はじめに
「赤坂桐畑」は、赤坂の町にあった桐の木が群生する場所を題材にしています。
桐は日本では古くから高貴な木とされ、家紋や意匠に用いられ、また家具や楽器の材料としても親しまれてきました。
広重は、江戸の中心にありながら自然の風趣を感じられる赤坂の一角を切り取り、江戸人の散策の楽しみを伝えています。
<2>赤坂と桐畑
赤坂は江戸城の西方、武家屋敷や寺社が多く立ち並ぶ場所でしたが、町人町や畑地も混在していました。
特に「桐畑」と呼ばれる一帯は、桐の木がまとまって植えられていたことで名所となり、江戸庶民の間でよく知られていました。
桐は、鳳凰が止まる木とされ、中国から伝わった吉祥木です。
日本でも天皇家や政府の紋章に使われるほど権威的な象徴でした。
江戸庶民にとっても、桐の花が咲く季節は季節感を楽しむひとときであり、観賞の対象となっていました。
<3> 絵の見どころ
すらりと立ち並ぶ桐の木を画面いっぱいに描き、その独特な葉と花の様子を浮き立たせています。季節は初夏、薄紫色の花が風に揺れるさまを想像できます。
桐畑を歩く人々が描かれており、花見や散策の場として親しまれていたことが伝わります。
桜や紅葉ほど派手ではない桐ですが、江戸人は季節の移ろいを多彩に楽しんでいました。
遠景には赤坂の町並みや武家屋敷が広がり、自然と都市が調和する江戸独特の景観が表現されています。
赤坂周辺の高台からの水が窪地に溜まって自然にできた池がありました。
1606年江戸城の外堀に水を供給するため、和歌山藩浅野幸長によって、この池が拡張されて 「溜池」となりました。
この水は玉川上水ができるまで飲料水として用いられていました。
堀の土手を補強するため、1716年~1736年に池の南側に桐を植えたことから、一帯を桐畑と呼ぶようになりました。
左に見える小山は山王寺があるところで、徒歩でいける裏道もあります。
こちらからは船で渡らなければなりませんでした。
池に点在するのは蓮です。
<4>現代の赤坂と桐畑
現在の赤坂は、官庁街や高級ホテル、ビル群が立ち並ぶ都心の繁華街です。
残念ながら「桐畑」と呼ばれた名所は失われてしまいましたが、その名は町名や史跡にわずかに残っています。
一方で、赤坂の日枝神社や氷川神社、さらには緑地や坂道に往時の面影を探すことができます。
浮世絵を手がかりに歩けば、江戸の人々が桐の花を愛でた記憶に思いを馳せることができます。
<5>観光ガイド
①日枝神社
赤坂の鎮守であり、山王祭で有名な神社です。
桐畑と同じ地域にあり、江戸の信仰や祭礼文化に触れることができます。
②赤坂の坂道散策
「桐畑坂」など、江戸の名残をとどめる坂が点在しています。
名前からも往時の雰囲気を感じ取れます。
➂赤坂氷川神社
江戸七氷川の一つで、緑豊かな境内です。
桐畑の自然と同じく、都会の中でひとときの静けさを味わえます。

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