
歌川広重-名所江戸百景-115-冬-びくにはし雪中 解説
現在の住所:中央区 比丘尼橋跡付近
緯度経度 :緯度:35.6820 経度:139.7760
出版 :1858年10月 年齢:62歳
観光ガイド風解説:「びくにはし雪中」
■ はじめに
歌川広重の『名所江戸百景』は、江戸の四季折々の景観を描き出した全119図の大作シリーズです。
その中で「びくにはし雪中」は、冬の風情を象徴する一枚です。
静かな雪景色の中に、江戸の都市生活の一端と風情を切り取った広重の名画で、今では貴重な江戸の冬景色の記録ともなっています。
■びくにはしとは?
びくにはし(尾久橋とも表記されます)は、現在の台東区・千代田区周辺にあった小さな橋です。
詳細な位置には諸説ありますが、江戸市中の小橋のひとつで、庶民の生活道路でした。
「びくに」とは「比丘尼(尼僧)」を指し、近くに尼寺があったことから名付けられています。
江戸ではこうした宗教施設に由来する地名や橋名が多く存在しました。
■絵の見どころ
比丘尼橋は京橋川に架かり、びくにと呼ばれる私娼のたまり場であったのが由来です。
どちらかというと悪所とされたところです。
左は尾張屋というももんじ屋です。
手前の大きな「山くじら」は野生の動物の肉をさす隠語です。
仏教伝来以降、四ツ足の肉は忌み嫌ってあまり食べられることはありませんでした。
江戸時代半ば頃より、薬喰いといって病後の体力回復のために食されるようになり、それを生業とする店も現れました。
右の「○やき十三里」は、焼十三里(焼いたサツマ芋)を売る店です。
芋を横に切った丸い形と、「くりよりうまい」の九と四をたして十三ということからできた名前です。
「栗四里うまい十三里」になります。
■現代の「びくにはし」を探して
残念ながら「びくにはし」という橋は現存していません。
江戸の橋跡をたどると現代の道路網や河川整備にその名残を見つけることができます。
東京の橋めぐり散策の際に、浮世絵と照らし合わせながら歩くのも一興です。
■観光ガイドのおすすめポイント
①冬に訪れる江戸の名所跡
上野や浅草など、雪景色が似合う地域を冬に訪れると、広重の描いた世界に少し近づけるかもしれません。
②浮世絵と現代の雪景色を重ねる
東京では雪が珍しくなりましたが、雪の積もった日には橋や坂道を歩き、広重の「雪中画」を思い浮かべると、日常の風景が一枚の絵のように感じられます。
③浮世絵美術館での鑑賞
太田記念美術館などで実物の「びくにはし雪中」に出会えることがあります。
摺りの色彩や紙の質感は、印刷物やデジタル画像では味わえない迫力があります。

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