葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の「隠田の水車」について説明する。
この浮世絵の青山穏田村は、現在の渋谷区神宮前の原宿あたりである。
当時は至るところでこのような水車が見られるような田園地帯であった。
近くには隠田川(渋谷川)が流れていた。
この水車は、渋谷川沿いに作られたもので、江戸名所のひとつにもなっていた。
この浮世絵が描かれた当時は、水車が貴重な動力源で、この動力で精米や製粉を行い人々は生活していた。
賑やかに働く人びとや激しい水流によって回る水車と、彼方にそびえる富士山との対比がおもしろい。
しかし、水車の回転方向が普通とは逆である。逆の流れで勢いがすごいことを強調したいと感じられる。
現在も渋谷の谷を流れる渋谷川の源流は、新宿御苑にある池が源流である。
さらにその上流は多摩川上流から引いた玉川上水である。
この浮世絵は1830年から1832年頃の作品である。北斎の年齢が72歳頃になる。
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