
歌川広重-名所江戸百景-30-春- 亀戸梅屋舗 解説
現在の住所:江東区亀戸3丁目
緯度経度 :緯度35.7065:経度139.8283
出版 :1857年11月 年齢:61歳
解説
<1> はじめに
「亀戸梅屋舗」は、亀戸天神のほど近くにあった「梅屋敷」という名園を舞台にしたした。
梅の名所として江戸の人々に大変人気のあった場所です。
<2>亀戸梅屋敷とは
亀戸の梅屋敷は、旗本・多賀氏の下屋敷にあった梅林を、江戸中期に商人・伊勢屋彦右衛門が買い取り、一般に開放して茶屋を設けたのが始まりです。
その名の通り梅の木が数百本植えられ、梅の名所として江戸市中から大勢の人々が集まりました。
春先には多くの参詣人や見物客が訪れ、梅見とともに茶屋で団子や酒を楽しむ「梅見の行楽地」として大変な賑わいを見せました。
<3> 絵の見どころ
手前にどっしりと枝を広げる梅の老木が描かれています。
花の白さと枝ぶりの力強さが、梅屋敷の名物を象徴しています。
奥には梅の花を愛でる人々や茶屋の風景が見え、江戸庶民が梅を楽しむ様子が生き生きと表現されています。
梅の花越しに人々の姿を描くことで、観る者自身が梅の木の下に立ち、花越しに景色を眺めているような臨場感を与えています。
この梅屋敷は、亀戸天神の裏四丁の所に位置した百姓喜右衛門宅の庭園「清香園」にありました。
広さ約3600坪で300株の梅の木がありました。
臥龍梅は龍がわだかまり休んでいる様に見えたことから有名です。
高さは3mと低かったものの幹の太さは1.6m、枝は四方に蜷局を巻くように広がり9m~11mありました。
また邸内には亀戸の地名となった亀ヶ井がありました。
正面に枝分かれした梅の木を大きく近景に拡大した構図です。
左側の立札には臥竜梅と書かれていました。
梅園内は柵で囲われ、入れないようになっていました。
中景には休み所で梅見を楽しむ人々が描かれています。
<4>江戸庶民にとっての梅屋敷
江戸では桜よりも一足早く咲く梅は、春の訪れを告げる花でした。
梅を鑑賞するだけでなく、茶屋で食事をしたり、土産物を買ったりと、今でいう「テーマパーク」のような感覚で楽しめる場所でした。
俳人や絵師も訪れ、句や絵に詠み込むなど、文化の発信地にもなっていました。
<5>現代の元八幡
かつての梅屋敷は残っていませんが、江東区亀戸の一角に「梅屋敷跡」の石碑が立っています。
亀戸天神社(学問の神様・菅原道真公を祀る)では、毎年2月〜3月に「梅まつり」が行われています。
<6>観光ガイド
①亀戸天神社参拝
学業成就のご利益で知られる亀戸天神社は、梅と藤の花の名所でもあります。
梅まつりや藤まつりの時期には特におすすめです。
②亀戸梅屋敷跡の碑巡り
JR亀戸駅から徒歩圏内に「梅屋敷跡」の石碑があり、江戸の面影を偲ぶことができます。
➂広重の浮世絵展示を探訪
江戸東京博物館や太田記念美術館などでは、広重の『名所江戸百景』が時折展示されます。
実物を鑑賞すると、江戸の人々の梅見気分を味わえます。

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