駿州大野新田

浮世絵

葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の「駿州大野新田」について説明する。
 
この浮世絵の大野新田は、現在の静岡県富士市につくられた新田集落で往時は葦の生い茂る沼沢地を干拓してできた土地だと思われる。

大野新田を通る東海道からの富士山の眺めである。

この付近は沼が多く、白鷺などの水鳥もよく見かけられた。

この浮世絵の時間帯は東の空が染まる早朝の頃と考えられる。

農夫たちが葦を背負った牛を引き連れて歩く様子を捉えている。
牛に積まれた葦、また牛の足が一定のリズムで並ぶ様子はこっけいである。
先頭を行く農夫とその前を歩く農婦が同じ姿勢をとっている。

牛は鈍重な歩き方をする。持ち上げた足をそのままべったりと地面に下す。
絵の中の牛はすべて、足の裏が地面から離れている。

男たちがみな草鞋を穿いているのに、前方の二人の女性は、牛のように荷を担ぎ、裸足である。

奥には富士沼が広がり、牛の列に驚いた数羽の白鷺が飛び去る姿が見える。

この浮世絵は1830年から1832年頃の作品である。北斎の年齢が72歳頃になる。

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