相州仲原

浮世絵

葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の「相州仲原」について説明する。

この浮世絵の仲原は、現在の平塚市の相模平野の真中にあった中原宿である。。
江戸に向かう中原道と大山参詣に利用された大山道が交わるのが中原宿である。

1595年から1657年まで、徳川家康が鷹狩りや駿府と江戸との往来の際に利用した中原御殿があった。

目の前には平野が広がり、悠然とした富士山の姿を臨むことができる。

富士山の手前にあるのは大山である。
浮世絵の当時、神仏習合の霊場であった大山を詣でる「大山詣で」で人々の往来も多い。
大山寺の本尊である不動明王の石仏が沿道に祀られている。

人手を見込んだ行商人。
修験者や仏像を入れた厨子を背負い、書写した法華経を奉納するため、物乞いをしながら行脚する者。
野良仕事に向かう農婦。
小川で黙々と網をすくう男。

多くの人々の姿が描写されている。

網をすくう男がいる小川は、男河川中原上宿の北側を流れる渋田川(通称玉川)と考えられる。

右端の男の荷物には浮世絵の版元西村屋の紋がある。

この浮世絵は1830年から1832年頃の作品である。北斎の年齢が72歳頃になる。

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