
歌川広重-名所江戸百景-33-春-四ツ木通用水引ふね 解説
現在の住所:葛飾区四つ木~宝町付近
緯度経度 :緯度35.7360:経度139.8350
出版 :1857年2月 年齢:61歳
解説
<1> はじめに
「四ツ木通用水引ふね」は、江戸のインフラを支える水運と用水の重要性を浮き彫りにします。
四ツ木は現在の葛飾区にあたる地域で、江戸市中に水を供給するための用水路が整備され、舟で運ばれる光景です。広重は、この「生活を支える水の道」を巧みに描き出し、江戸の人々の暮らしの背景にある仕組みを浮世絵に残しています。
<2>四ツ木とは
四ツ木は、現在の東京都葛飾区の隅田川東岸に位置する地域です。
江戸時代には水運の要衝で、農村と都市の境界にあたる自然豊かな場所でした。
江戸の急速な人口増加に伴い、水の需要は急激に高まりました。そのため玉川上水や神田上水をはじめとする多くの上水が整備されました。四ツ木周辺からも引水が行われ、舟で資材や水が運ばれていました。
水引舟(みずひきぶね)は、江戸の用水や資材を舟で運ぶことを指します。
この場所は、江戸の生活基盤を陰で支える物流拠点でもあったのです。
<3> 絵の見どころ
中央には、用水を引くための大きな舟が描かれています。
人が操りながら川を進む姿から、江戸の都市を支える「水の運搬」の重要さが伝わります。
背景には田畑や茅葺き屋根の家々が見え、四ツ木の農村らしい風景が広がっています。
都市と農村の結節点という位置づけがよく表されています。
画面を分断するように流れる四ツ木通用水は、亀有上水・本所上水・小梅上水ともいいます。
現在の埼玉県越谷市にあたる池から葛飾を通って源の森川に注いでいます。
本所や深川に水を供給していました。1722年に上水としての役割を終えて以降は灌漑用水や運河として利用されました。
水戸方面へ抜ける近道でもあったため、旅人を運ぶ四人乗りの引舟が登場しました。
水戸街道までの7kmを、川幅が狭かったため岸辺の堤から小舟を引いたのです。
三艘の引舟が人を乗せています。
上方の川沿いに並ぶ屋根は船着き場です。
その奥に架かる橋が引舟の終着で水戸街道です。
<4>江戸庶民と四ツ木の関わり
江戸庶民の生活は「上水」に大きく依存していました。
清浄な水を舟で確保することは、生活の質を守るうえで欠かせないものでした。
四ツ木周辺は農業地帯でもあり、野菜や果物を江戸市中に供給する拠点です。
舟運によって江戸の食生活を豊かにしていたのです。
<5>現代の四ツ木周辺
現在も「四ツ木」という地名が残り、京成押上線に「四ツ木駅」があります。
江戸時代と同じく水辺が広がり、川沿いを散策すると往時の雰囲気をしのぶことができます。
現代では漫画『キャプテン翼』の作者・高橋陽一氏の出身地として知られ、町にはキャラクター像が点在しています。
<6>観光ガイド
①隅田川テラス散策
四ツ木から浅草方面へ川沿いを歩くと、江戸時代の舟運の流れを体感できます。
②キャプテン翼ゆかりの街歩き
四ツ木駅周辺には人気キャラクターの銅像が並び、現代的な観光要素としても楽しめます。
➂柴又帝釈天との合わせ観光
葛飾といえば柴又です。
四ツ木から少し足を延ばせば、江戸情緒あふれる帝釈天参道が待っています。

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