
歌川広重-名所江戸百景-44-夏-日本橋通一丁目略圖 解説
現在の住所:中央区日本橋1丁目付近
緯度経度 :緯度35.6820:経度139.7740
出版 :1858年8月 年齢:62歳
解説
<1> はじめに
「日本橋通一丁目略図」 は、江戸の商業の中心地・日本橋における日常風景を切り取った興味深いものです。
江戸の暑い夏のある日、白木屋(しろきや)という大呉服店の前を舞台に、人々の往来、踊り、露店、そば屋、商人たち、そして日傘・笠を用いた風景を生き生きと描いています。
単なる街並みだけではなく、当時の風俗や町人文化が垣間見える図として、歴史的・文化的にも価値があります。
<2>日本橋通一丁目とは
日本橋通一丁目は江戸時代の日本橋南側、橋の袂から南北の大通りに面した商業一等地の一つです。
橋のすぐ南の通り沿いの町名群のうちの一区画です。
現在の東京都中央区・日本橋地区にほぼ相当します。
日本橋は江戸の五街道の起点とされ、日本全国から物資が集まり、また国内各地へ荷が分配される拠点でもありました。
日本橋通一丁目あたりは、多くの呉服店・問屋・商家が軒を連ねる繁華街でした。
とりわけ白木屋(しろきや)は、越後屋、大丸などと並び江戸三大呉服店の一つです。
大店(おおだな)として名を馳せていました。
こうした商業集積と人の往来の多さは、この図の賑やかな表現にもよく現れています。
<3> 絵の見どころ
町は神田須賀町から芝金杉までの大通町で四丁目まである。
右の一丁目の角に1662年創業の白木屋があります。
店の前には、真桑瓜売りがいます。
隣りの蕎麦屋東橋庵からは出前持ちがでてきています。
中央は住吉踊りの人々で、大阪の住吉神社の田植え踊りの大道芸人です。
菅笠の縁に銀幕をつけて被り、白の着付に墨の腰衣、白の手甲、脚絆、茜の前垂、白布で口を覆います。
一人が御幣を付けた傘の柄を割竹で打ちながら唄を歌います。
踊り子がうちわをもって周囲をめぐるものです。
後ろには三味線を持った女太夫がいます。
この二組とも木綿を着ており、近くに木綿店があることを示しています。
<4> 江戸の庶民との関係
そば屋・露店・出前・瓜売りといった小商いの様子は、庶民生活のリアルな断片です。
物を売り買いし、食を求め、町中を行き交う人々が描かれることで、この地域が日常的に使われる通りとして機能していたことがわかります。
住吉踊りや大道芸は、町人の娯楽と社交の場を提供していました。
こうした余興は庶民の生活を彩るものです。
このように、『日本橋通一丁目略図』は、庶民が暮らし、商いし、楽しむ都市空間を、そのまま切り取って見せてくれます。
<5>現代の日本橋を歩く
白木屋の跡地は、現代では商業施設 COREDO日本橋 として再開発されております。
日本橋地域は、江戸時代の町名が一部現代にも残っており、歴史的な街並みと現代都市が混ざり合う風情があります。
現在の日本橋は東京の金融・商業・観光の中心地の一つです。
歴史的建造物や老舗店舗、近代ビル群・商業施設が並び、観光とビジネスが融合する街並みです。
<6>観光ガイド
①白木屋跡・COREDO日本橋訪問
かつて白木屋のあった地点を訪れれば、広重の図と現在の景色を対比できます。
COREDO日本橋には歴史展示スペースもあるので、江戸時代の町並みを学ぶ拠点にもなります。
②周辺史跡をめぐる散策
日本橋の橋・魚河岸跡・問屋街・江戸時代から続く老舗商店街などを散策できます。
老舗の暖簾、通りの石畳、町家風建築など、江戸の面影を探して歩くのも楽しいです。
➂展示施設・美術館活用
江戸東京博物館、三井記念美術館、浮世絵専門美術館などです。

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