歌川広重-名所江戸百景-22-春-廣尾ふる川 解説

歌川広重 名所江戸百景 廣尾ふる川  名所江戸百景

歌川広重-名所江戸百景-22-春-廣尾ふる川 解説

          

現在の住所:港区南麻布2丁目付近 

緯度経度 :緯度35.6540:経度139.7120

出版   :1857年7月 年齢:61歳 

解説

<1> はじめに

「廣尾ふる川」は、現在の渋谷区広尾付近を流れていた古川を描いています。

江戸の南部を流れるこの川は、江戸湾へと注ぐ生活の大動脈であり、田園風景と水辺の風情を残す名所でした。

都会の喧騒から一歩離れた自然豊かな場面を切り取り、四季折々の情緒を伝えています。

<2>古川とは

渋谷川が麻布を抜け、広尾・白金を経て、港区芝浦で東京湾に注ぐ下流部分が「古川」と呼ばれています。

江戸時代の役割は生活用水や農業用水を支えただけでなく、舟運による物資の運搬にも利用されました。

広尾の地名は「広大な尾根」に由来するとされ、古川の流れとともに田園風景が広がっていました。

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<3> 絵の見どころ

水面を大きくとらえ、川沿いの柳や茅葺き屋根の農家を配置することで、のどかな江戸郊外の雰囲気を表現しています。

小さな橋を渡る人々や、川を利用する姿が描かれ、庶民の暮らしと自然が調和した景観が浮かび上がります。

背景には武蔵野台地の緩やかな稜線が描かれ、江戸の都市圏にありながら自然豊かな広尾の姿を印象づけます。

中央は、相模殿橋とも呼ばれた四ノ橋です。

古川は、上流では渋谷川、下流では新堀川、赤羽川と呼ばれ、品川で海に入ります。

左手は、1811年創業の尾張屋です。

<4>江戸時代の広尾・古川の風情

田畑と水車が並ぶのどかな農村風景が広がっていました。

江戸市中から少し足を延ばせば訪れることができる郊外の行楽地として、庶民の憩いの場所でもありました。

俳人や絵師たちがこの川沿いを訪れ、作品に残しています。

<5>現代の古川・広尾

現在の古川は暗渠や護岸工事が進み、当時の面影は少なくなっています。

川沿いには遊歩道も整備され、地域住民の散策路になっています。

現在の広尾は大使館やインターナショナルスクールが集まる国際色豊かな街です。

洗練されたカフェやショップが並び、江戸時代の農村風景とはまるで異なる姿を見せています。

古川橋や天現寺橋周辺を歩くと、川筋の名残を感じ取ることができます。

<6>観光ガイド

①古川周辺散策

渋谷川から古川へ続く流れをたどると、江戸から東京への都市の変遷を実感できます。

②広尾の街歩き

江戸の田園風景が、いまや洗練された国際都市へと変貌しました。

広重の絵と現代の風景を比較すると、その劇的な変化がよくわかります。

➂美術館・史跡めぐり

広尾から白金、麻布にかけては多くの史跡や美術館が点在します。

浮世絵に描かれた自然と文化の名残を探しながら歩くのもおすすめです。

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